最近では、「焼く時に油をひかなくてもいいウィンナー」なるものがあると聞いた。要は油を大量に含んでいて、フライパンに転がすと熱で油が染み出てくるようなシロモノだそうな。安かったのかどうか知らないが家人がそれを買ってきていた。
ある日の朝、家人が栄養学の基礎はともかく、30代の食事がいかに重要か、講釈を垂れながら朝食を作り始めた。
「朝食を抜いてはいけない。そして、糖分油分のとりすぎもいけない。30代の食事は特にそうだ。糖尿病になってしまうからな」
コーラと羊羹を食べ続けた挙句に軽度の糖尿病になった家人の言うことだから、それはもう強烈な説得力があるのだが、そう言いながら家人はフライパンに油をひいて、さきほどのソーセージと卵を放り込んだ。やがて完成するプレート。サラダと、目玉焼きと、やけに色つやのいいソーセージ。
家人は満面の笑顔でさあ食えと勧めてきた。どうやらこれがバランスの取れたよい料理、と言うことなのだろう。
「料理は成仏」が信条の私には、食べないと言う選択肢はない訳で。げふう。