チェスの寓意

チェスのモチーフが頻出し、さらにはこれみよがしに「キャスリング」などの用語が出てくる。
知らない人のために説明するならば、キャスリングとはチェス独特のルールで、将棋には存在しない。
キャスリング - Wikipedia
イメージとしては、王が抜け道を使って城の出口まで脱出し、その影武者としてルークが王のいた位置に来る様子をルールに取り入れたものである。一度に二つの駒を動かせる特殊な手だ。
推理小説的な演出に照らし合わせるならば、キングである金蔵が抜け穴を使って書斎を抜け出し、書斎に身代わりを置いていたと言うことになる。夏妃が見たのはルーク、身代わりの金蔵であったのだ。
もしこれが正しいとするならば、次の疑問はではルークは誰だったのか、と言うことになる。
発言から考えるに、夏妃に同情的な人物か、あるいは今後の夏妃の行動をコントロールしたいと考える人物であろう。
体格や声についてはいくらでも誤魔化しようがあるので、動機の面から考えるとすると、南條や源次、熊沢あたりが前者、蔵臼などが後者ではないかと思う。(この時点で蔵臼は死んでいるはずだが……入れ替わりトリックも否定しがたいので候補に入れる)絵羽のレシートロックは絵羽の行為を目撃した人物がいれば、それで崩れる程度だし、書斎の金蔵が幻だった可能性もあることにはある。金蔵はすでに書斎を脱出し、実体のない何かだけが夏妃と受け答えしたと言う可能性だが。