猫丸先輩の推測 (講談社ノベルス)

猫丸先輩の推測 (講談社ノベルス)

猫丸先輩の推測 (講談社ノベルス)

この人の作品は初めて読んだのですが、まあ、いい味出してますな。
いやし系だほのぼの系だなんだと言う書評が多いようですが、私としてはこの猫丸先輩と言う人物に対しては、警戒感を抱かざるを得ないところであります。正直に言えば、恐ろしい。必要がある時のために連絡手段くらいは確立しておきたいけれども、日常的に付き合いたくはないと言ったところです。まあ、傲慢なことを言えば、ですが。
警戒心を解かせようとする相手をこそ警戒すべきであり、加えてそれが病的にまでうまい人物はまさに疫病神のような趣があります。
それだけでも恐ろしいのに、何しろこの先輩には行動の予測ができない。世の中の全てを「面白い」か「面白くない」かでわけており、しかもそれは猫丸先輩の脳内でのみ判別されるからです。
さらに言えば、行動に目的がない。たとえば、仮に猫丸先輩と同じだけの観察能力と推理能力を持っている人物がいるとして、この人物が何か一定の俗な目的(地位とか金とか)を持った場合、それは易々と達成され、どうやったかもわからず、種を知らされればああなんだと膝をたたくように華麗に解決するでしょう。
けれど、猫丸先輩自身にはそう言った他人にわかりやすい目的がないため、何をしでかすかわからないと言う不安を周囲に与えるでしょう。能力を遊ばせているように見えて、いつそれがこっちに矛先を向けるかわからない不安。これはきつい。
話自体は非常に面白かったですし、猫丸先輩と言うキャラクターにも魅力があるのは認めます。でも、恐ろしい。いて欲しくない、と思います。


※2005/04/22 Fri 11:07:57 に再編集されました。
※2004/11/01 Mon 19:21:17に再編集されました。
※2004/10/30 Sat 17:10:25に再編集されました。