所在不明
電話があった。俺が取った。相手の第一声は以下のようなものだった。マジで。
「送られても困るんだよ!」
インパクトは充分だ。
俺「……何がですか?」
「何て……名前と、本の名前書いてるハガキだよ。送られても困るんだよ」
俺「督促状でしょうか」
「なんでもいいけど、送られても困るんだよ!」
俺「何故でしょうか?」
「何故ぇ? 困るって言ってんだろ!」
俺「いえですから、どうして困るんですか? 本を借りてるんですよね」
「借りてねえよ本人もういねえんだよ!」
俺「はあ……」
「だから、もう送るなよ」
俺「何故ですか?」
「送るなって言ってるだろ!」
俺「どこに送るなと? そもそも、どちらさまでしょうか」
「かわれ! お前じゃ話にならん!」
俺「お名前をいただけますか?」
「かわれ! エラい奴にかわれ!」
俺「上につなぐ時は必ず名前をいただくようになっています(本当)」
「名前は言わん! とにかく送るな!」
俺「どこにですか?」
「○○○だ! とにかく送るな!」
俺「いえ、本を返していただけない以上は送り続けることになりますが」
「なんやと、送ってみろ、訴えるからな」
俺「そうですか。で、誰に送るなと言ってるんですか?」
「うるさい! もういい!」
だいたいこんな感じ。
数日前に担当が延滞本の督促ハガキを大量発送(定期業務)していたから、そのどれかがヒットしたものだと思われるが、ここまでアレなのも珍しい反応だ。
一度しか聞いてないうろ覚えの住所だけでは、調べるのも面倒臭いのでそのままうっちゃってある。裁判か……被害者が匿名のまま起訴することもできるそうだが、法廷に出れば名前とかわかるんだろうなあ。
まあ、その、なんだ。
「盗人猛々しい」とはこのことだ。
唖然
数日前より忘れ物があった。パンパンのでかいリュックサック+パンパンの紙袋+カサの三点セットだ。
どのような経緯で忘れられたのか知らない私だったが、その後、持ち主が取りにきた。
ランニングに短パン、サンダルで非常に日焼けした若い男性だった。
「警備員にわけわからんこと言われた(から置いていった)」
と、聞いてもいないのに置いていった理由を言った。その割りには取りに来ない理由になってないなあとその時は思った。
その後報告した時、どのような経緯があったのかを上司から聞いた。顎が外れた。
なんでも、図書館に面する中庭でお弁当を食べていた子どもがいて、例の男性はその弁当の中のおにぎりを横から手を出して食ったんだそうな。
あんまりにもあんまりな無法(窃盗、それも弱者狙い撃ち)にそれを見た警備員が注意したところ、「三日間何も食ってないんだ」とかわめいた後、警備員を振り切って逃げ出したんだそうな。大きな荷物はその時においていったのだと。
警備員や施設の上役の間で、しばらくその例の男性の動きをチェックしていたが、そのチェック体制が緩んだ今頃、ほとぼりが冷めたと判断して取りに来たらしい。
……夏になると、色んな人が出てきますね。
所在不明
電話があった。俺が取った。相手の第一声は以下のようなものだった。マジで。
「送られても困るんだよ!」
インパクトは充分だ。
俺「……何がですか?」
「何て……名前と、本の名前書いてるハガキだよ。送られても困るんだよ」
俺「督促状でしょうか」
「なんでもいいけど、送られても困るんだよ!」
俺「何故でしょうか?」
「何故ぇ? 困るって言ってんだろ!」
俺「いえですから、どうして困るんですか? 本を借りてるんですよね」
「借りてねえよ本人もういねえんだよ!」
俺「はあ……」
「だから、もう送るなよ」
俺「何故ですか?」
「送るなって言ってるだろ!」
俺「どこに送るなと? そもそも、どちらさまでしょうか」
「かわれ! お前じゃ話にならん!」
俺「お名前をいただけますか?」
「かわれ! エラい奴にかわれ!」
俺「上につなぐ時は必ず名前をいただくようになっています(本当)」
「名前は言わん! とにかく送るな!」
俺「どこにですか?」
「○○○だ! とにかく送るな!」
俺「いえ、本を返していただけない以上は送り続けることになりますが」
「なんやと、送ってみろ、訴えるからな」
俺「そうですか。で、誰に送るなと言ってるんですか?」
「うるさい! もういい!」
だいたいこんな感じ。
数日前に担当が延滞本の督促ハガキを大量発送(定期業務)していたから、そのどれかがヒットしたものだと思われるが、ここまでアレなのも珍しい反応だ。
一度しか聞いてないうろ覚えの住所だけでは、調べるのも面倒臭いのでそのままうっちゃってある。裁判か……被害者が匿名のまま起訴することもできるそうだが、法廷に出れば名前とかわかるんだろうなあ。
まあ、その、なんだ。
「盗人猛々しい」とはこのことだ。
唖然
数日前より忘れ物があった。パンパンのでかいリュックサック+パンパンの紙袋+カサの三点セットだ。
どのような経緯で忘れられたのか知らない私だったが、その後、持ち主が取りにきた。
ランニングに短パン、サンダルで非常に日焼けした若い男性だった。
「警備員にわけわからんこと言われた(から置いていった)」
と、聞いてもいないのに置いていった理由を言った。その割りには取りに来ない理由になってないなあとその時は思った。
その後報告した時、どのような経緯があったのかを上司から聞いた。顎が外れた。
なんでも、図書館に面する中庭でお弁当を食べていた子どもがいて、例の男性はその弁当の中のおにぎりを横から手を出して食ったんだそうな。
あんまりにもあんまりな無法(窃盗、それも弱者狙い撃ち)にそれを見た警備員が注意したところ、「三日間何も食ってないんだ」とかわめいた後、警備員を振り切って逃げ出したんだそうな。大きな荷物はその時においていったのだと。
警備員や施設の上役の間で、しばらくその例の男性の動きをチェックしていたが、そのチェック体制が緩んだ今頃、ほとぼりが冷めたと判断して取りに来たらしい。
……夏になると、色んな人が出てきますね。
所在不明
電話があった。俺が取った。相手の第一声は以下のようなものだった。マジで。
「送られても困るんだよ!」
インパクトは充分だ。
俺「……何がですか?」
「何て……名前と、本の名前書いてるハガキだよ。送られても困るんだよ」
俺「督促状でしょうか」
「なんでもいいけど、送られても困るんだよ!」
俺「何故でしょうか?」
「何故ぇ? 困るって言ってんだろ!」
俺「いえですから、どうして困るんですか? 本を借りてるんですよね」
「借りてねえよ本人もういねえんだよ!」
俺「はあ……」
「だから、もう送るなよ」
俺「何故ですか?」
「送るなって言ってるだろ!」
俺「どこに送るなと? そもそも、どちらさまでしょうか」
「かわれ! お前じゃ話にならん!」
俺「お名前をいただけますか?」
「かわれ! エラい奴にかわれ!」
俺「上につなぐ時は必ず名前をいただくようになっています(本当)」
「名前は言わん! とにかく送るな!」
俺「どこにですか?」
「○○○だ! とにかく送るな!」
俺「いえ、本を返していただけない以上は送り続けることになりますが」
「なんやと、送ってみろ、訴えるからな」
俺「そうですか。で、誰に送るなと言ってるんですか?」
「うるさい! もういい!」
だいたいこんな感じ。
数日前に担当が延滞本の督促ハガキを大量発送(定期業務)していたから、そのどれかがヒットしたものだと思われるが、ここまでアレなのも珍しい反応だ。
一度しか聞いてないうろ覚えの住所だけでは、調べるのも面倒臭いのでそのままうっちゃってある。裁判か……被害者が匿名のまま起訴することもできるそうだが、法廷に出れば名前とかわかるんだろうなあ。
まあ、その、なんだ。
「盗人猛々しい」とはこのことだ。
唖然
数日前より忘れ物があった。パンパンのでかいリュックサック+パンパンの紙袋+カサの三点セットだ。
どのような経緯で忘れられたのか知らない私だったが、その後、持ち主が取りにきた。
ランニングに短パン、サンダルで非常に日焼けした若い男性だった。
「警備員にわけわからんこと言われた(から置いていった)」
と、聞いてもいないのに置いていった理由を言った。その割りには取りに来ない理由になってないなあとその時は思った。
その後報告した時、どのような経緯があったのかを上司から聞いた。顎が外れた。
なんでも、図書館に面する中庭でお弁当を食べていた子どもがいて、例の男性はその弁当の中のおにぎりを横から手を出して食ったんだそうな。
あんまりにもあんまりな無法(窃盗、それも弱者狙い撃ち)にそれを見た警備員が注意したところ、「三日間何も食ってないんだ」とかわめいた後、警備員を振り切って逃げ出したんだそうな。大きな荷物はその時においていったのだと。
警備員や施設の上役の間で、しばらくその例の男性の動きをチェックしていたが、そのチェック体制が緩んだ今頃、ほとぼりが冷めたと判断して取りに来たらしい。
……夏になると、色んな人が出てきますね。