色々とたまらなくなって

ブコフに逃げ込んだ。
心を落ち着かせようと本棚を見まわす。気になった本を手に取って読む。
鈴木みその「銭」だった。全てが金と効率に還元される世界。そこに人間の意味はあるのか? 気力がダウン!
大慌てで元に戻して別の本を手に取る。唐沢なをきの「まんが極道」。漫画家にまつわる挫折とか虚栄とかはきちがいとか、漫画家無間地獄を描いた作品。ちょっとでも物書きを目指した人間なら、この痛さは爪に針を刺すように感じられるだろう。さらに気力がダウン!
半狂乱になりながら本を棚に戻し、目をつぶって次の本を。業田良家の「ゴーダ哲学堂」だった。どんな時代にも通用する痛烈な社会批判。生きることが恐ろしくなってくる。気力はどんぞこ!
次に駕籠真太郎とか田丸浩史をつかんだらその場でアレするかも知れんと思って、本棚に背を向けた。
気がつくと、風呂に入って天井を眺めていた。ブコフからの道程は覚えていない。これまでのことをただ脳内リフレインしながら時計の針が一周半。やっと次にやることは風呂から出ることだと思いだした。
なんとか体を動かして、風呂から出る。機械的に体をふきながら、しかしこうすることに果たして何か意味があるんだろうかと考える。