言語と哲学者

一番好きな哲学者ジョーク。

ある哲学者が、こんな夢を見た。まず最初にプラトンが現れた。
そこで、その哲学者はいった。「あなたのすべての哲学について、
15分ほどで概要を教えてくださいませんか?」
哲学者の驚いたことに、プラトンはわずか15分のあいだに、
膨大な量の事柄を凝縮した、見事な解説をしてくれた。
しかし、あることを哲学者が反論すると、プラトン
答えられなかった。論駁されたプラトンは消えてしまった。
次にアリストテレスが現れた。だが、このときも同じことがおこった。
アリストテレスに対する哲学者の反論は、
プラトンに対するものとまったく同じものだった。
アリストテレスもこれには答えられず、結局消えてしまった。
続いて、古代、中世、近代から現代にかけての歴史上の
著名な哲学者が夢のなかに次々と現れた。
しかし、この哲学者は同じ反論を唱えて、全員を反駁することができた。
ついに、最後の人物であるデリダが消えたあとに、
この哲学者は独り言をいった。
「わたしはいま眠っている。これが全部夢であることも知っている。
それでも、わたしは、すべての哲学者に対する普遍的な反論を
発見したのだ! 明日、目を覚ましたら、この反論を
忘れてしまっているかもしれない。それでは人類にとって大損失になる!」
彼は超人的な精神で自分の目を覚まさせ、
夢遊病のようにして机に駆けつけると、その普遍的な反論を書きつけた。
そしてベッドに飛び込み、ほっとして再び眠りについた。
翌朝目を覚ますと、彼は机に駆け寄って、
自分が何と書いているかを確認した。
すると、そこには次のように書いてあった。

「それは、あなたが勝手に言ってるだけでしょう!」

言語は飽くまで道具でしかないんだよね。

追記:コメとブクマコメに対して

このジョークの、過去の哲人たちは二つの解釈ができますね。

  1. 夢とは壮大な自作自演劇である(ユングフロイト的解釈)
  2. 夢とは霊との交信の場である(オカルト的解釈)

1にのっとれば、コメントのtennteke氏のような指摘ができます。つまり、過去の哲人は、寝ている哲学者の知識のみをかき集めて作られた不完全なコピーであり、その不完全な哲学者が完全な回答ができなくても仕方がない、と言う解釈です。
2にのっとれば、ブクマコメのcastle氏のような指摘ができます。つまり、霊である過去の哲人は、肉体を持たないが故に身体論が哲学から欠けて総体としての哲学が不完全になる、あるいは肉体を使っての実証ができない、と言う解釈です。
結果としては、どちらで解釈してもこの過去の哲人たちは不完全になりますね。
もっとも、仮に完全な場合であっても「それは、あなたが勝手に言ってるだけでしょう!」が通用したら……どうしましょうね。