文化猫類学入門

 今度生まれた子猫たちは、どいつもこいつもマンクスキャットの如く尻尾がない。と言うか極端に短い。人間の指の第一関節くらいまでしかない。
 そうするとだ。
 この子猫たちがいずれ成猫してさらに子猫を作った時に、「横たわった猫が尻尾を振って子猫をあやす」と言う行為ができないのは間違いない。この行為が、子猫の狩猟本能を刺激し、また狩猟スキルを得るための大事な練習になっていることは、指摘するまでもないことだろう。
 そうすると、疑問になるのは、この未だ生れぬ子猫たちが隔世遺伝によって長い尻尾を持っていた場合である。
 未だ生れぬ子猫たちが成猫した時、その子猫たちは尻尾であやしてもらえるのだろうか。尻尾あやしは本能か、あるいは文化なのか。とても興味深い問題ではないだろうか。
 長期の観察が待たれるところである。