家人の愚痴

「その人はね、夫婦で運送業の下請けをしていてね」
 食事時、家人がそんな話を始めた。
「娘がいたんだけど、高校の時に妊娠して男と駆け落ちして行方不明になって、10年間音沙汰がなかったんだけどこないだ離婚して子供と一緒に帰ってきたの。で、仕事は相変わらず忙しいけど、それなりに幸せな毎日なんだって」
「はあ」
「で、『新ジャガいる?』って聞いたら、喜んでもらっていって、『週末、これでなんか作って娘と孫に食べさせるわ』だって」
「ほう……で、それは一体誰のこと?」
amazonからアンタ宛の荷物届ける人。あんまりよく来るもんだから、仲良くなって茶も飲んだわよ」
「……」
「目ぇそらすな」