昔読んだ話を思い出す

 以前、どっかの業界紙で紹介されていた話。
 アジアのどこか、多分名前の最後にタンがつく国のどれかだったと思う。その国では綿花産業に国際的競争力を持たせようと悪戦苦闘していたそうだ。
 そこで、助力を乞われた日本は官僚と技官を派遣して、法と技術の両面で援助することにしたそうだ。
 ある時、その法学系の官僚が「どうして日本を選んだのか」と現地の官僚に聞いたことがあるそうだ。その時の回答およそこういうものだった。
 実は以前、ヨーロッパ諸国に同じような援助を頼んだことがあり、いくつかは実際に同じように人を派遣してもらったのだが、彼らは「うちの国では〜」と言う話しかせず、役に立たなかったのだと言う。日本だけが、現状に即した助言をしてくれたのだと言うことだ。
 で、実際にどうだったか。以前のこの国では、単純な条文がいくつかあるだけだったそうだ。たとえば。
「質の悪い綿花を作った者は、○○の刑に処す」
 こんな程度の法律だった訳だ。
 結局、日本の官僚は、徹底的に法に手を入れざるを得なかったと言う。

  • おかしな解釈ができないように言葉に気を使う
  • 良い悪いの基準などは、第三者が見てもわかるものにする
  • 法を守ることによるメリットを明確にする。
  • 逆に破ることのデメリットも明確にする。
  • そのメリット・デメリットが損なわれないようにする。
  • 公務員の汚職は、そもそもできないようなシステムを作る。

 などなど。気がついたら、実際の綿花法制定を通じて「法治国家の作り方」を伝授しているような有様だったとか。

 さて、今の日本で制定されている法律は、これらの要件を果たして満たしているんでしょうかねえ?