世間の人々

 先任者と共に、とある水道料延滞者への督促に行った。
俺「どれくらい延滞してるんですか」
先「ん、(ピー)年」
俺「……年単位ですか。えーと、月並みですが、(水道を)止めなかったんですか?」
先「そこはあんまり流行ってない食堂で、止めると多分潰れるな。もしお前に『店が潰れたのは水道局のせいだ』と言う裁判の被告になる覚悟があるなら、止めてもいいぞ」
俺「……考えさせてください」
 訴訟リスクを考慮しなきゃならん職場ってのもかなりクるものがあるな。水道料金でこれだから、市町村税はさらに地獄、県税・国税は地獄の底と言う感じなんだろう。
 現場に到着。駐車場に車を置き、店に行くが店主は不在。
俺「どうします?」
先「まあ、そろそろ来ると思うが、車の中で待っておこう。ここに立ってると怒るからな」
 そして車までの短い道程の途中で、戻ってきた店主と出会う。
店「店の前にコ○キみたいに立つなっちゅーたろーが! まるで俺が悪いことしてるみたいやないか! 払わんぞコラァ!」
 投げつけんばかりの勢いで差し出された紙幣を受け取り、次回の日付を聞いて一目散に引き上げる俺たち。
先「次、今回の領収証持って来ますねー!」
 この仕事してるといろんな人に会えそうだ。しかしリアルで「コ○キ」とか使う人には初めてあったように思う。世間は広いなあ。