悪魔のルーレットの寓意

結局のところ、誰を殺すかはどうでもいいと言うべきか。
「鍵」の役割を果たす人物が最初の6人を殺害するが、重要なのは6と言う数字であり、誰が対象であっても構わなかった。
「鍵」は単純にその時本家屋敷にいた人物の中から6人を、殺しやすい者から殺し、足りなければゲストハウスに赴くつもりだったのだろう。
夏妃が殺されなかったのは、「鍵」が夏妃の扉に手をかけた後で、紗音を発見したからで、蠍のアミュレットとは関係がない。
ゲストハウスにいた源次がこの「鍵」だったとするとわかりやすい。嘉音は紗音が戻って来ないことを怪しんでいないのが不思議だ。
金蔵はこの時点で書斎を脱出していたかも知れない。殺せる者から殺していくのであれば、屋敷にいないことがその条件であったとか。金蔵は自分の命もまたルーレットのチップとして差し出したが、それでも自分が選ばれる確率を下げる努力は当然しているだろう。
(追記)
今、Webで見た推理を見て筋が通っていると思った。以下はそれを補強したもの。
最初の6人殺しは、留弗夫と霧江の仕業。
留弗夫はすでにある計画を立てており、それから島に乗り込んだ。
「殺されるかも知れない」と言ったのはその伏線で、自分でない死体を自分だと発見者に思わせるため。その計画のために自分は死ぬ必要があったから。
留弗夫は殺される発言をした後、霧江に計画を打ち明けた共犯者にした。たとえば、アメリカでの裁判を正直に話し、他の兄弟が単純に金を失うだけに比べて自分は逮捕される可能性もあることなどを示唆した。そうやって味方につけた上で、息子の戦人よりも高い継承権を持つ人間を全て殺し、自分も死ぬことで全てをチャラにする計画を打ち明ける。死んだ後でも会社をコントロールする方法を準備していたのかも知れない。
夜、同室していた蔵臼・楼座を二人で殺害する。その場にもしかしたら、金蔵も出てきていたのかも知れない。自分の死体の代わりに金蔵も殺害する。魔女の碑文を利用するため、人数合わせに郷田も殺害。
夏妃も殺害しようとするが、それよりも、血のついた手で扉を触ったところを目撃した紗音を殺さねばならなかった。最後に邪魔になった霧江を留弗夫が殺害して終わり。留弗夫はそのまま姿をくらます。
まあ、この死んだと見せかけて系トリックは全て「じゃあ、今はどこにいるのか」と言う点が弱いのだけれども。