裁判員制度

法務省製作、中村雅俊監督出演の映画、「裁判員制度」を見てきました。
ダイジェスト版はこちらで→http://nettv.gov-online.go.jp/channel_mov.html?c=22&n=243&e=01&f=0
私としては「十二人の怒れる男」みたいなのを期待してたんですが、監督の意向か脚本家の趣味か、なんだか人情物になってしまっていました。
裁判員に選ばれたやる気のない6人が物静かだが断固とした意志を持つ中村雅俊裁判長のお言葉で燃え上がり、翌日は活発な議論が交わされ、全員が納得のできる判決が出てくる、そんな話。
裁判員の個人的な事情とか心理とかはどうでもええちゅーねん。もっと事件そのものについて語らんかい!と心の中でツッコミを入れながら観ておりました。
ただまあ、判決自体も、「この材料でならこういう結論になりそうだな」と納得はできるが、これは逆に検察側も弁護側も全ての証拠をぶちまけてからでないといかんと思った。今みたいに検察側が不利な証拠を握りつぶしてしまえるのであれば、判決の質自体も変わらないだろうなあと。機械にキップルを入れたらキップルが出てくるんですよ。皆、知ってた?*1
で、参考。
四国新聞社

裁判官、発言遮り誘導? 高松地裁の模擬裁判
2007/02/03 16:02

 裁判員制度の導入に向け、高松地裁などが二日、同地裁で開いた模擬裁判の評議で、「裁判員」として公募参加した女性が量刑に関して述べようとした際、裁判官が女性の発言を遮り、誘導とも取れる行為をした。女性は「市民の感覚で意見を言いたかったのにあまりに威圧的」と憤慨。「自由に意見を出し合う場」(同地裁)という主旨とは裏腹で、制度導入の難しさを浮き彫りにした。

 高松地裁は「時間の都合もあったが、適正に行った」と釈明している。

 評議は、裁判官と裁判員が有罪・無罪、量刑について議論し、最終的に多数決で判決を出す場。裁判員に自由に意見を述べてもらうため、裁判官には専門的知識に基づく誘導の自粛が厳しく求められ、「対等な立場でなければ制度の根幹が揺らぐ」(最高裁)とされている。

 この日の模擬裁判の評議では、万引の後に店長を殴って強盗致傷罪に問われた男の量刑をめぐり、大半の裁判員が「執行猶予付きの懲役三年」と、理由を含めて一通り意見を陳述。しかし、女性が「実刑の懲役六年が妥当」と話し始めたときに限り、裁判官が「重いか軽いかを考えて」などと遮った。

 女性は「自分だけ意見を言わせてもらえない空気になった。そのせいで多数決の際も、執行猶予にしないといけないのかと思ったほど」と批判している。

何もかも台無し。
ちなみに裁判員候補者リストに載る確率は、私の住んでる自治体で約3000人になるそうだ。その中から事件の度に6人〜12人の裁判員が選ばれるので、年間の事件数にもよるが、なる確率はまずない。当日来ていた検察庁の人の言葉を引用するなら「宝くじよりは当たり易い」だそうだ。わかんねーよ。
アメリカの陪審員制度は、民主主義を守るための制度と認識されている*2が、同様の制度である裁判員制度が日本では忌避されると言うことは、やはり日本の民主主義は御仕着せなのだと思わざるを得ない。

*1:おっと、人を機械に例えたら叩かれるんでしたっけ?

*2:余談だが、図書館もまた政府のやることを広く市民に伝えることで民主主義を守る歩哨の役を担っているそうだが