著作権の復習

発端

コピーをしたいと言うお客さん。曰く。
「カラーコピーないの? じゃあ、そのページをデジカメで撮っていい?」
いやそれはちょっと。
「なんでよ! モノクロコピーがよくてカラーコピーが悪いってのはどういうことなのよ!」
うるせえなあ(心の声)、法的根拠を用意しますのでちょっとお待ちを。

調査

と、言う訳で著作権関連を思い出すように調べる。
まず、複写とか複製ってのは、著作権によって基本的に禁止されてる。
けれど、著作権法の目的は文化の発展であって、とにかく複写禁止禁止禁止ではその目的に合致しない。
なので、禁止の壁に特例の穴をゴジゴジと開けていく法整備をする。
その穴の一つが「引用」だったり、「図書館における複写」だったりする。
「図書館における複写」の場合、コピーしたいのが図書館外の人間の時、

  1. 著作物の一部(判例的には半分以下)を
  2. 改変を加えることなく(図書館員が見てますよー)
  3. 一枚だけ(私的に使うんなら、一枚あれば充分だろ?)

コピーするのであればオッケーとなっている。
デジカメがまずいのは、加工が可能であり、かつ劣化のない大量複製が可能になる点である。2と3に抵触する訳だ。
もっとも、この崩れることなき著作権の壁も、壁の内側からならば著作権者自身がいくらでも穴を開けられる。ラブクラフト翁のように「勝手に設定使ってよし!」みたいな穴の開け方もあるし、GPLのような条件つきの開け方もある。アラジンの如く、通る度に「オープンセサミ」を唱えなければ(許諾を取らなければ)ならない例もある。全ては著作権者の胸先三寸次第である。

実例

さて、上記を踏まえて。
図書館における複製の範囲内であれば、コピーを取るのは自由です。カラーコピーがないのはウチが貧乏だからで著作権とは関係ありません。
図書館における複製を逸脱するコピーをしたいのであれば、出版社にやっていいかどうか聞いてくださいませお客様。
ちなみに親切半分興味半分で、実際に出版社にも聞いてみた。すると。
「公的機関に対してはなんぼでもコピーするんですけどねえ(管理しやすいし、訴訟のリスクなどもほぼないから)、むしろ私人に対しては、何に使うかとか、書面ではっきりさせますね(私的コピーを業者に売った例があって訴えたこともあるとか、クレジットを入れられず盗用されたこともあるとか)」とのこと。納得である。

顛末

最終的にお客さんは、設定を変えて何度も何度もコピーして、最終的な一枚だけをお持ち帰りされました。残りは我々の裏紙として再利用の運びとなりました。一件落着。

ブクマでつっこまれたので追記

うぬぬ。同一性の保持はあんまり関係ないの? もうちょっと調べてみる……。
だから著作権は「原理は単純、運用は難しい」と言われるんだ。