コメントレスレス

経験値の溜め方(コメントレスその2) - 永字八法の続き。

社会性というのは、ヒトの脳の初期値というよりはいわゆる「ミーム」によって後天的に与えられるモノではないかと思っています。

ああ、社会性は、そうですね。ミームによる部分が多いんでしょうね。
身体の動かし方については初期値の部分が強いと思います。鳥は教えられなくても飛びますよね?

ただ、AさんとBさんが恋愛関係にあるか否かを判別できるということと自分でそれを試してみようと発想することには自発性を使った棒高跳びが必要な部分があるのは間違いなく、ここら辺を如何にSF的AI的かつ人間的に解決するかは面白い所だと思います。

ニューラルネットワークでできるのは経験から正解を導き出すだけで、本当の意味で、相手の心理を理解しているのかはわかりませんけどね。手法的には、他者が遭遇したであろう経験サンプルを作製し、白紙のニューラルネットにぶつけて学習させて、相手がどう動くのかをシミュレートする、となるんでしょうが、それをどのようにさせるかが問題ですね。
役者などが「相手になりきる」ことができるかどうか。わからんところが多いです。

ただ、特殊メンテナンスのように人間がその首根っこを掴むのは倫理的にヤバいですね。だがそれがいい、かな?

ぶっちゃけ、今現在の先進国の大部分の人間は、限られた食料生産者に首根っこ掴まれてますけどそこはスルー。人工知能たちが自らをメンテナンスする頭脳を持てるかどうか、の問題もありますが、SF的にはあることにしないと話にならんですね。
人間でさえ、様々な掣肘があるんだから、人工知能に掣肘を加えても問題はない。むしろ、そうすることで社会の成員と認められる、と詭弁チックですが申しておきます。ネタにはなりますね。

たとえば個体毎の自分にとっての信頼度(これまでの投票とその結果から自分が付けた重み付け:環境要因としてご主人様の傾向などに左右される)を含めると、全メイドロボで一つの仮想のニューラルネットワークに…。

「みんなの意見」は案外正しいを読んだのですが、素人も含む多数の主観によるてんでばらばらの評価の集計が、何故か最も真実に近いのだそうです。この本はその「何故」を説明しているのですが、よくわかりませんでした(笑)。わかる範囲では、主観にしろ何にしろ、意見を多数集めることで評価に必要な要素が洗いざらい集まるのだそうです。その集計の結果なので、最も真の値に近くなる、とのこと。
しかしこれもまあ、実際どっちの方法でもやってみないことにはわからないでしょうねえ。

同期されてるのに個性が生まれるタチコマはオカルトじゃないかなあと思ったり。それに同期されたら愛情が薄まりそうなので嫌ですね(笑)

蛇足ながら、あの世界では必要に応じて配線を自己増殖させるニューロチップが一般化されているようです。ですので、ハードウェアのレベルで微小な個体差があると言えるでしょう。攻殻機動隊 (1) KCデラックスでは、素子が「使い込んでない脳のダミーを残してしまった」とか言ってますので、特に電脳関係には成長チップが使われているのだと思います。攻殻機動隊 (2) KCデラックスでも、ハッキングされた基盤を調べ、そこからハッカーを手繰る描写があります。作者じゃないので、この解釈が合っているかどうかはさっぱりですが。
まあ他にも、素子用フチコマタチコマ)は赤かったり、バトー用フチコマタチコマ)はバトーの趣味で天然オイル入れてたりしますから、経験は同じでもハードウェア的な差は最初からあるとも言えますが。サイトーなんかは衝撃で自分の目が狂うのを嫌がるので、フチコマタチコマ)に対して「もっと静かに走れ」とか命令してたりするかも。
人工知能の愛情……は、永遠のテーマですな。人間の愛が定義できないのに人工知能が愛を持っているかどうかをどうやって確かめるのか、なんてのは古くからある非難ですが。
集積されたデータにうずもれて、相対的に愛情が薄くなったと言う訳ですな。まあ、哀しいことですが、「幼児の時は幼児の如く。大人になってからは幼児のことを忘れたり」でしょう。変化するにつれて物事の優先度・重要度が変わるのはむしろ自然なことかと。
それはそうと、海野螢の「時計仕掛けのシズク」は単行本発売がとても楽しみですな。エロ漫画でありながら、人工知能との恋愛について正面からぶつかっていく意欲作ですので。COMIC XO (コミックエックスオー) 2006年 12月号 [雑誌]で作者へのインタビューが掲載されてますが、読者層を意識してか用語の簡単な説明が多くて苦笑しました。フラクタル理論なんて普通に知ってる……わきゃないんだよなあ本来。