バイトくん

新しいバイト君は、フツーにイケメンだ。
派手じゃないけど、適度にくどいベビーフェイスに、バランスの取れた体型をしている。職場のあるおばちゃんは「線の細いジャニーズ」なんて評してた。意味はなんとなくわかるけど、ジャニーズって表現は今からするとどうなんだろうと思った。
バイト君は若い。四年制の国公立大学を卒業したけれど、就職できなくて地元に戻り、そこで今の図書館のバイトを始めた。
一度「何ができるの?」と聞いてみた。新しい人に対する興味も当然あったし、仕事をする上で特技があればそれに見合った仕事をしてもらいたいからだけど。
バイト君は少し考えた末に「……数学、ですかね」と言った。なので試しにやしのみ算 - 永字八法を出してみたんだけど、こたえられなかった。他の人は翌日、色々考えていて正解はなかったんだけど、それはそれで話題になった。バイト君は問題のことを覚えてもいなかったみたいだ。
ある時、打ち込みの仕事が入ったので、新しく入ったバイトさんの誰かにやってもらおうとした。このイケメンバイト君は、ExcelもWordもできないと言った。横にいた外語大卒の(やっぱり)バイト君が手を挙げて名乗り出た。……経済学部って何勉強するところだっけ? 不良学生だった俺には思い出せもしないことだったが、首をひねらざるを得なかった。
そんなバイト君だけど、それでも俺より遥かに早く*1結婚とかするんだろうな、とそんな予感がする。だってイケメンだからね。

*1:俺自身が結婚できるかどうかはさておいて