探偵とプレイヤー

ミステリーでゲームを作るとすると、ネックになるのが探偵役とプレイヤーの知性の差である。
言うまでもないことだが、探偵役のキャラクターとプレイヤーとは別個の存在である。
小説でもそうだ。物語内の探偵は、話がすすむにつれて「ふうむ、そうだったのか」と犯人に気付く。しかしプレイヤー(読者)にはわかっていない場合が多い。それでも小説であるから、読み進める内にいずれ真相にたどりつく。
しかし、ゲームでそれは正しいことだろうか。それではただのノベルゲームとどう違うのか。そういう問題が生じる。
では、プレイヤー自身に犯人がわからなければクリアーできないようにすればいいのか。理論上はそうだ。しかし、TRPGのマスター経験者ならばその身に染みて知っているだろうが、「プレイヤーは基本的に馬鹿」である(お気に障ったら失礼)。ましてや、探偵でもなんでもない、ただのオタクなのである。
ではどうするか。そこはもう、知性に下駄をはかせるしかない。
私の趣味に合わせるのであれば、主人公の探偵役の側に、意思は薄いが高性能のロボ娘でも配置して、ある時間にあるキャラクターがどこにいたのかを表にする機能でも持たせてみたい。
探偵は、キャラクターたちに質問して証言を集める。その証言をインプットされたロボ娘は、犯行当時やその前後、キャラクターたちがどこにいたのか、どのように行動したのかを表形式に整理する。プレイヤーはその表を見て矛盾を探し出したり、あるいは誰かの証言が嘘であると仮定して行動表を再構築したりする。
少なくともこうすることで、「誰がやったのか」は特定できる。後は、それに沿って「どうやってやったのか」そして「何故やったのか」を調査するだけである。
適切なツールを与えてプレイヤーの知性に下駄を履かせられるならば、プレイヤー=探偵型のシナリオも成立できると考える。