新しい運転手

今日は宴会 - 永字八法の続き。
勇退した方は移動図書館車の運転手さんであり、当然かわりの人が異動して来た訳だが。
他の図書館はいざ知らず、うちでは移動図書館車の運転手さんは、現業さん、つまり毎日ゴミを集め処理すると言う尊い仕事をしている方の中からお願いしている。
まあ、なので、図書館の中しか知らない人間からすると色々と面食らうことも多い。
新しい運転手さんは、固太り体型で脂の乗り切った人だった。
その人が移動図書館車に対し、最初にやったことは、ギアチェンジのスティックを変えることだった。昨日までは1〜4までの数字とRの文字が書いてあったプラスチックの取っ手が、紫色の気泡入りクリスタルに変わっていた。
そしてハンドルに回転させやすいように補助取っ手を! 車内には芳香剤のフローラルな香りが! 週に一度は洗われる外装!
「本なんか読んだこともねえ」と嘯くその方は、きっと現業にならなければデコトラ運転手になっていたに違いないと思われた。
が、ただのデコトラ運転手とは違うのはここからである。お客さんにご老人が多いのを見て取ると、即座に車内のあちこちに取っ手をつけ始めた。それも自前でネジも用意してだ。
バリアフリーを肌で実感し実行できるなんて、タダモノじゃねえぜこの人……。
話はどうしても合わない部分はあるが、人間として真っ直ぐで好感が持てる。人事もたまにはいい仕事するじゃないか。