大自然の掟

三匹いた仔猫たちのうち、一匹が死に、一匹が行方不明と聞いた。自分が確認した訳ではないが、一日中庭にいる家人が言うのだから間違いはないだろう。

この写真が、その二匹の最後の写真になってしまった。
生き残った仔猫はこいつ。

家人が言うには、こいつと後の二匹では体の大きさが全然違ったらしい。つまるところは、親猫は、本能的にだろうが、弱くて育ちきれない仔猫を見殺しにしたんだろう。二匹の仔猫は親猫のネグレストで飢え死にだかショック死だかをしたんだと思う。……少し、悲しかった。
この、黒猫から生まれたくせにまるっきりシャム猫の、そしてペルシャ猫のように鼻の低いこいつを生かすために、他の二匹は、一緒に転げまわって遊んでいた二匹は、死んで道を譲ったんだ。
次に生まれてくる時は、きちんと育ててくれる親から生まれて来い、としか言えない。仏教徒でよかった。生まれ変わりでも信じていなければ、やりきれなくてしょうがない。

残った一匹は、何事もなかったように眠り、遊び、乳を飲んでいた。こいつは気付いているのだろうか。気付いた上で全てを吹っ切って生きているのだろうか。それとも猫は、皆そういう覚悟の上で生きているんだろうか。
まあ、その、なんだ。
生きてくれ。それだけが願いだ。