MAICO 2010

これももう初版発行からだいぶたつ(作中の4コマで扱われているOSがWindows 95だったりする)ので、ネタバレしてしまってもいいんじゃないかと思います。

テレビ局付きのラジオ局で、AI搭載のアンドロイドアナウンサー「MAICO」をパーソナリティに起用する。この作戦はうまくいき、ラジオ局は勢力を盛り返したが、「MAICO」のOSには「バグ」があり、開発した組織は「MAICO」を回収しようと追っ手を送り込んでくる。MAICOのアナウンサー起用は、開発者の一人の裏切りと暴走の結果であったからだ。
最後には組織の攻撃によりMAICOのボディは破壊され、復活は不可能かと思われたが、「MAICO」は「バグ」を逆用し、ネットワークを通じて同じOS(と「バグ」)を持つ軍事衛星その他に自分の情報を逃がし、ネットワークそのものを自分のボディとして復活する。
で、これも自我の発生に関しては説明がなされていないので、ちょっと寂しいです。
それに、「MAICO」型の姉妹機は「ロボット三原則」を遵守していますが、「ロボット三原則」を守るロボットは「フレーム問題」との絡みで実際は行動ができないと言われています。たとえただ人の側を歩くだけでも、人に危害を加える可能性が少しでもあれば、その行動ができなくなる訳です。歩いている途中で自分の足が故障して、人間の方に倒れて人間に怪我をさせる可能性なども予想してしまう訳です。
その辺、アシモフ先生が全面的に悪い訳ではないですが、あまりにも三原則を神聖視する人が多いのもどうかと思う訳です。
萌え作品としては、ヒロインがピンクの髪だったりしてごく基本なんですが、いまいちそのデザインが気に食わないので私は高い点は出しません。男一人女(アンドロイドとサイボーグ)三人での脱衣麻雀などがあったりで、それなりのレベルにはあるんですけどね。
実は私、この作品についてはなんか大きな誤解をしていましてね。
テレビ局が理想の女子アナを作ろうとして、まずは上半身だけを作り、命令とおりにしゃべるだけのマネキンにしておいて当座をやり過ごし、その内アドリブとかにも対応できるようにどんどん改造されて下半身ができ、AIが発達してインタビューとかもできるようになったり、とか言う話を想像してました。
話は全てスタジオの中で進行する、舞台劇のような、あーまあ、言ってしまえば「ラジオの時間」のようなのを考えてた訳です。こっちのが短くて面白いと思うんだけどなー。