著作権法は改正すべきだと僕が改めて思った理由について

 ベッドが、へこんだ。だから、著作権法は改正されなければならない、と僕は結論した。
 何故と言うならば、それは僕がベッドの上に立ったからだ。僕の今の体重は94.4kg。TANITAのひょう量136kgの代物で先日計った数値だ。ちなみに136kgと言うのは、300ポンドの意味だ。アメリカで作られたアメリカ規格のロードセルを輸入してkg表示のチップをくっつけるとこういうことになる。体重計の制作技術そのものは既にギリギリまでモジュール化が進められており、ロードセル・電源部・検出部・表示部の部品をハンダゴテ片手に組み立てるだけで(精度はともかく)素人でも作ることができる。使っているのはそんな風にして作られた量産品であり、精度も家庭用でしかない。なので、統計学的には僕の真の体重は恐らく94.4kgではない。が、それはこの際どうでもいい。
 僕が何故ベッドに立ったのかといえば、それは部屋の反対側ベッドの向うにある何かを手に取りたかったからである。それを手に取るには、ベッドを越えなければならなかった。正確には、本棚とそこから溢れでた本が本来通路であるべき場所を占領しており、ベッドを通らざるを得ない状況だったのだ。もっとも、この状況は数年前からずっと継続していて、長期的な懸案事項ではあるのだが、なかなか解決の端緒がつかめずにいる。人はそれを怠慢と呼ぶのだろうが。
 しかし僕もいつまでも手をこまねいている訳ではない。自炊、あるいは自炊代行業者を通じて蔵書の体積減少、ひいては部屋の容量確保、換気の効率アップなどを模索しているのだが、諸々の問題があった。
 その問題の中の一つが、もっとも体積が大きく容量を逼迫させるのが、雑誌であることであり、別の問題として、自炊業者は雑誌の自炊を「著作権者が特定しづらい」との理由から断っているのが大半だからである。この二つの理由が合わさると、自炊による体積の削減は非常に効率が悪いことになる。同じ冊数であるならば、雑誌と文庫本では雑誌を優先して処理した方が効果的であるのは一目瞭然である。
 そんな訳で、著作権法は改正されて雑誌等の自炊を邪魔しないようになるべきであると結論した訳だ。僕のベッドがこれ以上壊れないためにはこれしかない、と僕は強く確信している。
 著作権周りの「著作権制定に尽力した人がまだ生きていて、各方面に睨みを効かせているので、この人物が死ぬまでは著作権法を抜本解決することは難しい」と言う都市伝説を思い出してはその誰かさんへの呪詛をつぶやいてみたりもするのだが、それよりも著作権を50年から70年に伸ばそうとする勢力の方が強くて嫌になる。アメリカでは「ネズミ保護法」などと揶揄された延伸法案であるが、日本では一体どう呼ばれるのだろう。