交通事故二日目

 朝目覚めると、背中全体が痛かった。打ち身は後からじわりと来るものらしい。まあ、それでもやっぱり幸か不幸か仕事ができない程度の痛みではないのであった。
 午前中は仕事。ついでだから、組合に事故について尋ねてみる。おお、なんかやっぱり組合くるみで保険に入っていたらしい。事故があった証拠とか駄目になった物の写真を添えて書類を提出すると、なんぼか出るらしい。
 午後から休みを取って警察へ。約束の時間の前に到着。担当の保険屋と先に落ち合って話をする。

  • 病院へは保険会社の方に請求するように話はついた。昨日払った実費は後で取りに行ってくれ、とのこと。
  • 病院に行くまでの交通費も出るらしい。
  • 判例タイムスを持ち出して、今回の事故は「9:1」になると説明。それで修理代とかは色々計算して相殺と言うことに。
  • その他の書類をもらって、後で書いて出してね、とのこと。

 それから担当の警察官と話しながら書類を作成する。行ってみると先におねーちゃんが来ていて、ちょっと待たされた。いつ来たのおねーちゃん。事故の実況見分書にハンコ押したり、自賠責保険の番号を伝えたり、諸々。
 最後にこう聞かれた(単語は違ったかも)。「訴える気はありますか? □警察におまかせします。 □訴える気はありません」ここで「おまかせします」と答えた俺は完全に公僕。そういう判断をするものこそお上の仕事じゃろー。でなければ裁判みたいなことをさせるなと。国民から復讐の権利を奪ったんだから、それにかわることを国家でやってもらわんとな、と。
……でも、おねーちゃんから「示談にしてください」と言われれば「はい」とこたえる準備はあったんだがな。おねーちゃん何も言って来ないし。
 結果としておねーちゃんは検察に書類送検されることに。とは言え、起訴されるかどうかは検察次第で、この程度の内容ならばあんまり心配することはないと言っていたが、まあ、2ヶ月ほど不安に怯えることになるんだろうな。
 それから、保険屋さんの車で移動。原付や駄目になったシャツなどの写真を証拠として撮るのだそうだ。まずは、馴染みの販売店に行って原付の写真。
 写真機はなんとポラロイドだった。今時珍しいと言えば珍しいが、保険屋さんは「撮れたかどうかその場でわかるのがいい」と言っていた。俺が考えるにそれだけではないと思う。写真の利点はデジカメに比べて加工が面倒であること、また、ポラロイドならばネガすらないのでネガでの細工も有り得ないこと。つまり、写真に写っているものは少なくともその場にそういう形であったものだと言うことの強力な証明になることだ。
 原付はなんと外装が割れただけで普通に走ることもできた。さすがは世界のHONDAである。割れたパーツはまずは見積をとって、それを保険屋に知らせるところからと言うことだ。
 次に自宅にある合羽とシャツの写真を撮る。合羽はすぐにみつかったが、シャツはなんと家人がゴミ箱に突っ込んでしまっており、慌ててゴミ箱を探る羽目に。ちくしょう、なんだってこんなに智恵がないんだ。ゴミの収集日が明日でよかった。
 なんとか写真撮影も成功。
 最後に病院に行って、もう一度診察をしてから、昨日払った診察費用を取り戻して、今日一日の予定を終了。