吊るしたい奴がいる。複数。

 地域住民の方から電話がある。
「先日の団地大掃除で、図書館の本が野外に放置されてるのをみつけたんですけど……」
 信じられない事態に半信半疑ながらも訪問してみると、実際にうちの本だった。礼を言って引き取って帰った。
 本はかなり放置されていたと思しく、ほこりにまみれ露に濡れ、紙はごわごわカバーにはカビが生え、振ると枯れ草とともに小さなナメクジまで落ちてきた始末。
 弁償を要求することを館長が承認。怒りと悲しみとともに借りた人間(当然延滞になっていた)を特定する。念のために登録申込書も探し出し、また逃げられないよう根回しするために住所地区の自治会会長の連絡先を調べた。
 そこまで下準備をやったところで、5時になったので夜勤の職員に引き継ごうとした。
 すると。
「やだ。そんな面倒なことやりたくない」
 と拒否された。はぁ?
 お前、自分が何言ってるのかわかってんの? そりゃ面倒なことになるのはわかってるよ。だけど、やりたくない? 何それ? お前何しにここに来てんだ?
 本気でブチ切れそうになった。
 くそ、てめえなんかアテにした俺が馬鹿だった。乗りかかった船だやってやるよ! くそったれ!
 全く思うつぼである。後で班長から諄々と諭された。
「ここに来る人は他で使い道のない人ばっかりなんだから*1、そんなの頼んでも無駄よ。やるんなら、館長を通して館長に命令させなきゃ」
「全くその通りです」
「それに上は上で部下を評価しきれない、部下を誉めない人なんだから、言われるまではやっちゃ駄目よ。やりたいことがあるんなら、上から指示が下りるように仕向けなきゃ」
 ほとほと組織に向かないと思い知らされる事件でした。
 弁償要求自体の解決はまた後日。

*1:実を言うと俺もそうなんだが。あんまり他の部署でやる気ないとこ見せたんで左遷されたようなもので。マジで。