釣り書

家人が帰ってくるなり、のたまった。
「釣り書! 釣り書作りなさい!」
なんか本気で見合い相手を拾って来たらしい。やれやれ。それはそうと、こういうのって本人が書くものなのか?
「本人が書くみたい。インターネットで調べた」
おおー。なんか新しいスキルを身に付けてる。
「でも、何書けばいいんだろう。書式とかないか調べて」
やっぱり俺が調べるのか。
google:釣り書 様式 OR 書式
……七件目にこのブログが!? 気付いてないだろうな。あぶねえあぶねえ。
あ、書式はみつからなかったけど、何を書けばいいかはわかったよ。
「じゃあ、それで作りなさい」
……って、手書きとかじゃなくていいのかね。
「あんた『特技:パソコン』なんだから、アピールするために自分で作りなさい」
へーい。
で、作ってみた訳だが。

趣味:読書
特技:パソコン

……嘘はついてないんだが、これほど実態とかけ離れた紹介ってのもちょっとないんじゃないか。自分で書いといてなんだけどさ。
つまりは、釣り書に本当のことなんか書く人間は誰もいないってことだ。あれはちょっと面積の広い名刺くらいに考えておくべきと言うことだろう。
そんな訳で、取り澄ました文面を作って家人に渡す。その頃には家人も写真を選び終わっていた。ていうか、ほとんど自分が写真に写ることがないんで選ぶのは簡単だったろうなあ。いっそのこと、去年の冬に撮ったサンタクロースのコスプレ写真でも渡そうかと思ったが、さすがにそれは「常識」が邪魔するんだろうなーとやめといた。
「よし、準備完了。そう言えば相手の人、(俺の名前)知ってるみたいだったよ」
へ? どっかで会ったことあったのかな?
「図書館のカウンターに座ってた(俺の名前)に本を探してもらったって」
……それは一体なんてメロドラマですか。orz