言えないのは何故。

家人が、見合いの話を振ってきた。そろそろいい加減にいい加減にしやがれと言う苛立ちがひしひしと伝わってくる。
のらりくらりと黙り込んでいると、「じゃあ一体どんなタイプがいいんだ」とか言い出した。いいぞいいぞ。いらだってるいらだってる。
別に好きでのらりくらりしてる訳じゃない。嘘は言いたくないから本当のことを言うしかないんだが、その本当のことも言いたくないから黙りこんでるだけだ。
「好きなタイプは」と聞かれれば「眼鏡のショートカット」が回答になるんだが、何故かそれを言いたくない俺がいる。ていうか何でだ。
「好きな性格のタイプは」と聞かれれば「いかにも命令されたからしょうがなく不本意ながら写真撮らせてやりましたみたいな不機嫌そうな見合い写真を使う人」が回答になるんだが、やっぱりそれを言いたくない俺がいる。でも、眼鏡かけてガンくれてる見合い写真を見せられたら、会ってみたい気にならないか? 見合いとかなんとか別にして。
しかしなんで言いたくないんだろうか。自分でもその理由がよくわからない。